副業のネットショップが会社にバレる経路は2つしかありません。①特定商取引法の表記に出る本名・住所・電話番号(商品ページから誰でも見られる)②住民税の通知(給与天引きのままだと副業分が会社経由で課税される)です。①は販路の非公開機能かバーチャルオフィス(月660円〜・2026年10月時点)、②は確定申告で「自分で納付」を選ぶことで塞げます。
この記事の結論(先に要点だけ)
- 開業届や販路の登録情報が会社に送られることはない。バレる入口は「特商法の表記」と「住民税」の2つに絞って対策する
- 特商法の氏名は戸籍上の本名か商号登記した商号。屋号だけの表示は認められない(消費者庁)。本名を出さないなら商号登記(登録免許税3万円)しかない
- 住所と電話番号はBASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミーなら無料の非公開機能で運営会社の情報に置き換わる。Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・楽天には機能が無く、バーチャルオフィスの住所と050番号で対応する
- 住民税は確定申告書 第二表の「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」に○。ネットショップの所得は給与ではないので普通徴収にできる(副業がアルバイト給与の場合は不可)
- 副業所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない年も、住民税の申告は必要(横浜市ほか各自治体)
副業のネットショップはどこから会社にバレる?
バレる入口は「公開情報」と「税金の通知」の2系統だけです。開業届・販路の登録・インボイス登録のどれも、会社に自動で通知される仕組みはありません。
私も会社員をしながら副業をしていた時期があるので、この不安はよく分かります。ネットショップそのものは受託の仕事と違って商品ページが公開されるので、「誰かに見つかる」心配が先に立つんですよね。ただ、整理してみると経路は2つに絞れます。
| 経路 | 何が見える/届くか | 塞ぎ方 |
|---|---|---|
| ①特商法の表記 | 氏名・住所・電話番号が商品ページのリンク先に表示され、検索でも見つかる | 販路の非公開機能/バーチャルオフィス/商号登記 |
| ②住民税の通知 | 副業分を合算した住民税額が勤務先に通知され、給与天引きの額が増える | 確定申告で「自分で納付」を選ぶ |
| ③開業届・インボイス登録 | 税務署への届出で、勤務先には通知されない。インボイスの公表サイトは任意公表しなければ氏名と登録番号のみ | 対策不要(公表サイトは別記事) |
逆に言うと、①と②を押さえればネットショップの存在が勤務先に伝わる仕組みはありません。残るのは「同僚が偶然ショップを見つけて本名で気づく」という人の目のリスクで、これは特商法の氏名表示とSNSの運用で決まります。
特商法の表記で本名・住所・電話番号はどこまで出る?
氏名は戸籍上の本名か商号登記した商号、住所は現に活動している場所、電話番号は確実に連絡が取れる番号。この3つが原則で、省略できるのは「請求があれば遅滞なく開示する」旨を表示して実際に開示できるときだけです。
消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」(2026年10月11日確認)を読むと、個人事業者の氏名表示について次のように書かれています。
個人事業者の場合は、戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を表示する必要があり、通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません。
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」通信販売広告Q&A(2026年10月11日確認)
つまり屋号だけで本名を伏せる運用は、法律上できません。本名を出さずに運営する唯一の方法は、法務局で商号登記をして「商号」を表示することです。登録免許税は1件につき3万円(国税庁「登録免許税の税額表」2026年10月11日確認)で、会社設立とは違い個人のまま使えます。
住所と電話番号は、同じQ&Aで次の整理になっています。
- 住所:「現に活動している住所」を表示する。バーチャルオフィスは、運営事業者との合意があり、事業者の実住所と本人名義の電話番号を運営事業者が把握していれば使える。私書箱は「営業上の活動の拠点」に当たらないので不可
- 電話番号:確実に連絡が取れる番号。営業時間外の留守番電話は可
- 省略:消費者からの請求で「遅滞なく」書面(メール可)で提供する旨を広告に表示し、実際に提供できる措置があれば、氏名・住所・電話番号の表示を省略できる。「遅滞なく」は申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供すること
省略は「見せないで済む」であって「誰にも教えない」ではありません。開示請求が来たら本名と住所を相手に渡すことになるので、勤務先の同僚や取引先が買い手になる可能性がある人は、省略だけに頼らないほうが安全です。
住所と電話番号を出さない方法は3つ|販路で決まる
①販路の非公開機能(個人なら無料)②バーチャルオフィスの住所と050番号 ③省略表示の3つで、使える方法は販路で決まります。非公開機能があるのはBASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミー、無いのはAmazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・楽天です。
副業で始める人の多くはBASEかminne、慣れてきてAmazonやShopifyに広げる流れが多いと思います。ここで困るのが、販路を広げた瞬間に非公開機能が使えなくなることです。
| 販路 | 住所・電話の非公開機能 | 自宅を出さない現実解 |
|---|---|---|
| BASE | あり(区分「個人」のみ)。BASE株式会社の住所・連絡先に置き換わる | 非公開機能で足りる。返品や問い合わせ時は開示が必要 |
| STORES/minne/メルカリShops/カラーミー | あり(個人・個人事業主)。運営会社の住所に置き換わる | 非公開機能で足りる。法人は対象外 |
| Amazon/Shopify/Yahoo!ショッピング/楽天 | なし | バーチャルオフィスの住所+050番号を表記に使う |
出典:BASEヘルプ「特定商取引法に基づく表記」(2026年10月11日確認)/各社ヘルプは「特商法の住所に自宅を載せたくない|EC別の非公開機能と対処法」で個別に確認済(2026年10月5日)
BASEの非公開機能は便利ですが、ヘルプにあるとおり発送元はBASEの住所ではなく自分の住所を使う必要があります。匿名配送に対応した発送方法を選ばない限り、伝票の差出人には自宅が載ります。副業で「同僚が買う可能性がある」人は、ここまで含めて考えておくと安心です。
販路別の非公開機能の細かい条件は特商法の住所に自宅を載せたくない|EC別の非公開機能と対処法に、電話番号だけ出したくない場合は特商法の電話番号を載せたくない|非公開の可否と対処3つにまとめています。
非公開機能が無い販路、または複数販路で統一した表記にしたい人は、バーチャルオフィスで「住所と電話番号」をまとめて用意するのがいちばん手間がかかりません。ネットショップ向けのプランなら050番号が基本料金に含まれるので、電話番号を別契約する必要がなくなります。
ネットショップの表記に「住所+050番号」を1契約で用意したい人向け
NAWABARIのネットショップ運営プランは月額1,100円(税込・2026年10月時点)で、特商法の表記に使える住所と050番号(東京拠点なら03番号も可)が基本料金に含まれます。初期費用は通常5,500円でキャンペーン中は0円、初回契約は1か月または12か月の自動更新です。Amazonや楽天に販路を広げる予定がある人は、プランと審査の条件を公式ページで確認してみてください。
住民税で会社にバレる仕組みと「自分で納付」の選び方
副業分を合算した住民税額が勤務先に通知されるのが「バレる仕組み」です。ネットショップの所得は給与ではないので、確定申告書 第二表で「自分で納付」に○を付ければ、副業分だけ納付書で納める普通徴収にできます。
住民税は前年の所得をもとに市区町村が計算し、会社員の場合は勤務先が給与から天引き(特別徴収)します。副業の所得があると合算した税額が勤務先に通知されるので、経理が「給与の割に住民税が多い」と気づく、というのが典型的な発覚経路です。
これを避ける手続きが「普通徴収の選択」で、水戸市の案内(2026年10月11日確認)では次のように書かれています。
確定申告書二表の「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」に○印をつけます。
出典:水戸市「副業分の所得に係る住民税の納付方法について」(2026年10月11日確認)
ここで押さえておきたい条件が3つあります。
- 給与の副業は普通徴収にできない:アルバイトなど給与所得の副業は、すべての給与を合算して主たる勤務先から特別徴収される(水戸市・西宮市とも「法律上できない」と明記)。ネットショップの所得(事業所得または雑所得)だから選べる
- 副業分が赤字だと特別徴収になる:水戸市は「給与所得以外の所得がマイナスの場合などは特別徴収になります」としている。開業初年度で仕入れが先行する人は要注意
- 20万円以下でも住民税の申告は必要:所得税は給与以外の所得が20万円以下なら確定申告不要(国税庁 タックスアンサー No.1900)だが、横浜市は「所得の多少にかかわらず」住民税の申告が必要としている。確定申告をすれば住民税の申告はされたものとみなされる
私のおすすめは、所得の大小にかかわらず確定申告をして、第二表で「自分で納付」を選ぶやり方です。住民税の申告書を別に書く手間がなく、徴収方法の選択も1枚で済みます。会計ソフトの確定申告画面にもこの選択欄があり、副業会社員向けの使い方は副業フリーランスのfreee使い方|会社員兼業のリアル確定申告に書いています。
なお、自治体によっては申告書の○印が反映されず特別徴収になるケースがあるので、6月に届く住民税の決定通知書で「給与以外の分が普通徴収になっているか」を確認し、違っていれば市区町村の住民税担当に連絡してください。西宮市は「所得の種類は勤務先に通知されない」としつつ、給与以外の所得が極端に多いと勤務先が疑問に思う可能性にも触れています。
会社員が副業ネットショップを始める前のチェック5つ
①就業規則の副業規定 ②本名を出せるか(商号登記の要否)③販路の非公開機能の有無 ④住民税の徴収方法 ⑤SNSと屋号の紐づけ。この5つを開店前に決めておくと、あとから表記や販路を変える手戻りがなくなります。
- 就業規則を読む:副業の可否は法律ではなく勤務先のルール。許可制なら、特商法で本名を出す前に申請を済ませる
- 本名を出せるか決める:出せないなら商号登記(登録免許税3万円)。屋号だけの表示は認められない
- 販路を非公開機能の有無で選ぶ:最初はBASE・minne・メルカリShopsなど非公開機能のある販路で始め、Amazonや楽天に広げるときにバーチャルオフィスを契約する順番が、費用を最小にできる
- 住民税を「自分で納付」にする:初年度から確定申告をして第二表に○。6月の決定通知書で反映を確認
- SNSと屋号を本名に紐づけない:ショップ用SNSのプロフィールに本名や勤務先の情報を置かない。特商法ページは検索エンジンに拾われるので、屋号で検索して本名が出ないかを公開後に自分で確認する
私は副業時代、ネットショップではなく受託の仕事でしたが、④の「自分で納付」を知らずに1年目を過ごし、6月の通知書を見て慌てた経験があります。所得の種類が勤務先に伝わることはなくても、天引き額が増えるだけで不安になるので、最初の確定申告で○を付けておくのがいちばん楽です。
住所だけを用意すればよい人(電話番号は販路の非公開機能で足りる、または専用の番号を既に持っている人)は、住所専用のプランが最安です。
特商法の表記に使う「住所だけ」を最安で用意したい人向け
GMOオフィスサポートは住所のみのプランが月額660円(税込・2026年10月時点)で、特商法表記や名刺に使う住所の最安水準です。郵便の転送が要るか、法人登記をするかでプランが変わるので、ネットショップの用途なら「住所のみ」で足りるかを料金表で確認してみてください。公式は2027年1月上旬の料金改定を発表しているので、契約時に最新の金額を見るのをおすすめします。
副業のネットショップと会社バレに関するよくある質問
Q1. 開業届を出すと会社に副業がバレますか?
バレません。開業届は税務署に出す書類で、勤務先に通知される仕組みはありません。会社に伝わる経路は特商法の表記と住民税の通知の2つで、開業届の有無とは無関係です。
Q2. 特商法の表記に屋号だけを載せて本名を隠せますか?
隠せません。消費者庁は個人事業者の氏名として「戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号」を求め、屋号やサイト名のみの表示は認めていません。本名を出さないなら法務局で商号登記をして商号を表示する方法になります。
Q3. 副業の所得が20万円以下なら何も申告しなくていいですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。横浜市など各自治体は所得の多少にかかわらず住民税の申告を求めています。確定申告をすれば住民税の申告はされたものとみなされるので、確定申告で済ませるのが簡単です。
Q4. 住民税を「自分で納付」にすれば副業は絶対にバレませんか?
住民税の経路は塞げますが、絶対ではありません。副業分が赤字だと特別徴収に戻る自治体があり、申告書の○印が反映されないこともあります。6月の住民税決定通知書で給与以外の分が普通徴収になっているかを必ず確認してください。
Q5. バーチャルオフィスの住所を特商法の表記に使っても問題ありませんか?
使えます。消費者庁は、運営事業者との合意があり、事業者の実住所と本人名義の電話番号を運営事業者が把握していれば、バーチャルオフィスの住所を「現に活動している住所」として表示できるとしています。私書箱は認められません。
まとめ|塞ぐのは「表記」と「住民税」の2か所だけ
副業のネットショップが会社にバレる経路は、特商法の表記(本名・住所・電話番号)と住民税の通知の2つです。本名は商号登記以外に隠す方法がなく、住所と電話番号は販路の非公開機能かバーチャルオフィスで対応し、住民税は確定申告書 第二表で「自分で納付」を選んで6月の通知書で確認する。この3点を開店前に決めておけば、あとから表記を差し替える手戻りはなくなります。
