インボイス登録をすると、国税庁の公表サイトに自分の情報が載ります。ここで個人事業主が気にするのが「自宅の住所まで出るのか」ですが、個人事業者の住所は公表事項に含まれず、公表されるのは氏名・登録番号・登録年月日・取消(失効)年月日の4つです。屋号や事務所の所在地は、自分から申し出たときだけ公表されます(国税庁公表サイトFAQ・2026年10月9日確認)。
この記事の結論(先に要点だけ)
- 個人事業主の自宅住所は公表サイトに出ない。出るのは氏名・登録番号・登録年月日・取消(失効)年月日だけ
- 氏名(本名)は必ず公表される。屋号で活動していても本名は隠せない
- 屋号・主たる事務所の所在地・通称・旧姓は「公表事項の公表(変更)申出書」を出した人だけ公表される。出さなければ何も増えない
- 取引先に見せる住所を自宅以外にしたいなら、バーチャルオフィスの住所を「主たる事務所の所在地」として申し出る選択肢がある(月660円〜・2026年10月時点)
インボイス公表サイトに個人事業主の住所は出る?
出ません。公表されるのは氏名・登録番号・登録年月日・登録取消(失効)年月日の4項目で、国税庁のFAQは「住所は公表事項ではありません」と明記しています。
私もインボイス登録のときに一番ひっかかったのがここでした。登録申請書には納税地として自宅住所を書くので、「これがそのまま全国に公開されるのでは」と思うんですよね。でも登録簿に載ることと、公表サイトに出ることは別です。
公表対象は(1)氏名、(2)登録番号、(3)登録年月日、(4)登録取消(失効)年月日に限定されています。「住所」は公表事項ではありません。
出典:国税庁 インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト FAQ 1-10(2026年10月9日確認)
さらに公表サイトの検索は登録番号(Tを除く13桁)を入力して探す仕組みで、トップページに氏名から探す方法の案内はありません。つまり、あなたの登録番号を知っている人が、その番号の持ち主が本当にあなたかを確かめる、という使われ方が基本です。
公表される情報・されない情報を表で整理
個人事業主は「氏名と番号まわり」だけが公表され、住所・納税地・電話番号は出ません。法人は本店または主たる事務所の所在地が法定の公表事項です。
| 項目 | 個人事業主 | 補足 |
|---|---|---|
| 氏名(本名) | 公表される | 法定公表事項。屋号で活動していても本名が出る |
| 登録番号・登録年月日・取消(失効)年月日 | 公表される | 法定公表事項 |
| 住所(自宅)・納税地 | 公表されない | 登録申請書には書くが、公表事項ではない |
| 主たる屋号 | 申出した人だけ | 「公表事項の公表(変更)申出書」で追加 |
| 主たる事務所の所在地 | 申出した人だけ | 同上。自宅以外の所在地を載せたい人向け |
| 通称・旧姓(旧氏)氏名 | 申出した人だけ | 同上。個人事業者のみ |
| 電話番号・メールアドレス | 公表されない | そもそも公表項目に無い |
法人の場合は話が変わって、名称・登録番号に加えて本店または主たる事務所の所在地が法定の公表事項です(FAQ 2-4)。一人法人で自宅を本店にしていると、登記と同じ住所がここにも出ます。
本名は隠せる?屋号だけで活動している人の現実
隠せません。公表サイトの氏名は法定公表事項なので、申出で外すことも屋号に置き換えることもできません。できるのは「屋号や通称を足す」方向だけです。
ペンネームや屋号で仕事をしている人ほど、ここで困ります。取引先に登録番号を伝えると、相手は公表サイトで番号を引いて本名を見ることになるんですよね。国税庁のFAQ 1-10はまさにこの懸念に答える項目で、結論は「氏名は公表する、住所は公表しない、屋号は申出があれば公表する」です。
対処としては、屋号や通称を申出で併記して「本名=この屋号の人」とわかる状態にしておくほうが、取引先から見ると安心材料になります。本名を見られること自体は避けられないので、見られても困らない形に整える、という発想です。
屋号や事務所の所在地を公表するには?申出書の出し方3ステップ
「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」をe-Taxか書面で出します。登録申請と同時でも、登録後に追加でも提出できます。
- 載せたい事項を決める:主たる屋号/主たる事務所の所在地/通称/旧姓(旧氏)氏名のうち、必要なものだけ。何も申し出なければ何も増えません
- 申出書を作る:様式名は「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」(国税庁 手続案内 D1-67)。e-Taxソフト(WEB版)で作成・送信できます
- 提出する:e-Taxで送信するか、書面なら業務センター(インボイス登録センター)宛に送付します。登録申請書と一緒に出しても、あとから単独で出しても構いません
すでに公表している屋号や所在地を変えるときも同じ申出書です。氏名や法人の本店所在地など法定公表事項の変更は別の様式(登録簿の登載事項変更届出書)なので、どちらの事項を変えるのかで出す紙が変わる点だけ注意してください(FAQ 2-4)。
取引先に自宅住所を見せたくない人の選択肢はどれ?
公表サイト経由で自宅が出ることはないので、問題は「請求書・契約書・名刺で住所をどう書くか」です。自宅以外の住所を持ちたいなら、バーチャルオフィスの住所を主たる事務所の所在地として申し出る方法があります。
整理すると、住所が相手に渡る経路は公表サイトではなく、日常の書類です。インボイス(適格請求書)の記載事項は「発行事業者の氏名又は名称と登録番号」であって住所は要件ではないので、請求書に住所を書かない運用も可能です。それでも契約書や名刺、ECサイトの特定商取引法の表記では住所が要ります。
- 公表サイトには何も足さない:住所は元から出ない。屋号も出したくなければ申出をしないだけ。費用ゼロ
- 屋号だけ申出する:取引先が番号を引いたときに屋号が見え、本名との紐づけがわかりやすい。所在地は出さない
- バーチャルオフィスの住所を「主たる事務所の所在地」として申出する:請求書・名刺・特商法の表記も同じ住所にそろえられる。公表サイトのFAQは所在地の種類を限定していませんが、開業届の事務所所在地や特商法の表記と食い違わないようにそろえるのが無難です
私の場合は、取引先には屋号つきの請求書を出していて、住所を聞かれる場面はほぼ契約書だけでした。それでもネットショップを持つ人は特商法で住所が必ず出るので、そこまで含めて「表に出す住所を1つに決める」ほうが管理が楽です。どの販路で住所が出るかは特商法の住所に自宅を載せたくない人向けのまとめに販路別の表があります。
表に出す住所を自宅以外にそろえたい人へ
GMOオフィスサポートは月660円(税込・2026年10月時点)から住所だけを借りられ、法人登記や郵便物の転送が要る場合はプランを上げる形です。請求書・名刺・特商法の表記を同じ住所にそろえたい人は、料金表で転送の要否から選んでみてください。公式は2027年1月上旬の料金改定を発表しているので、契約時に最新の金額を確認するのをおすすめします。
納税地・税務署の郵便はどうなる?公表とは別の話
納税地は公表されません。税務署からの郵便は開業届や登録申請書に書いた納税地に届くので、公表サイトに所在地を足しても郵便の宛先は変わりません。
ここを混同する人が多いのですが、公表サイトの「主たる事務所の所在地」は見せるための情報で、税務署が書類を送る先は納税地です。バーチャルオフィスの住所を納税地にするなら、開業届での住所・納税地の書き方のほうで手続きが要ります。申出書だけ出して郵便が届かない、ということにはなりませんが、逆に納税地を変えたつもりになるのも危ないので、別の手続きだと覚えておいてください。
やる前に知っておきたい注意点3つ
- ① 一度公表した所在地は「変更」で直す:引っ越しやバーチャルオフィスの乗り換えで所在地が変わったら、同じ申出書で変更を出す。古い住所が残ると取引先が混乱する
- ② 公表サイトは「隠す」機能がない:法定公表事項(氏名・番号・日付)は申出で消せない。公表を減らしたいなら、そもそも申出をしないのが唯一の方法
- ③ 登録をやめても履歴は残る:登録を取り消すと「登録取消年月日」が公表事項として載る。やめ方と注意点はインボイス登録の取り消し方法にまとめてあります
インボイス公表サイトと住所に関するよくある質問
Q1. インボイス登録すると自宅住所が公表サイトに出ますか?
出ません。個人事業者の公表事項は氏名・登録番号・登録年月日・登録取消(失効)年月日の4つで、国税庁のFAQは「住所は公表事項ではありません」と明記しています。登録申請書に書いた納税地も公表されません。
Q2. 屋号だけ公表して本名を伏せることはできますか?
できません。氏名は法定公表事項なので、申出で外したり屋号に置き換えたりはできません。できるのは、主たる屋号や通称を申出で追加して、本名と並べて表示させることまでです。
Q3. 屋号や事務所の所在地を公表サイトに載せるには何を出せばいいですか?
「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出します。e-Taxで作成・送信できるほか、書面で業務センター(インボイス登録センター)に送付することもできます。登録申請と同時でも、登録後に追加でも提出できます。
Q4. 法人の場合も住所は公表されませんか?
法人は本店または主たる事務所の所在地が法定の公表事項なので、登記上の本店住所が公表されます。自宅を本店にしている一人法人は、登記と同じ住所が公表サイトにも出ます。
Q5. バーチャルオフィスの住所を公表サイトの所在地にできますか?
公表サイトのFAQは、申出する「主たる事務所の所在地」の種類を限定していません。ただし開業届の事務所所在地や特定商取引法の表記と食い違うと取引先が混乱するので、実際に事業の拠点として使っている住所にそろえて申し出るのが無難です。納税地の変更は別の手続きになります。
まとめ|住所は出ない、本名は出る、足すかどうかは自分で決める
インボイスの公表サイトで個人事業主の自宅住所が出ることはありません。出るのは氏名と登録番号まわりだけで、屋号や所在地は申出した人だけが公表されます。表に出す住所を自宅以外にそろえたいなら、月660円〜のバーチャルオフィスの住所を所在地として申し出て、請求書・名刺・特商法の表記も同じ住所に統一するのが管理の手間がいちばん少ない方法です。
※本記事の公表事項・申出手続は2026年10月9日時点で国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのFAQ(1-10・2-4)と国税庁の手続案内(D1-67)を確認した内容です。料金はサービスの公式サイトの時点表記に従っています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
