ネットショップを始めると、特定商取引法の表記に住所を載せる場面が必ず来ます。ここに自宅を書きたくない人の答えは販路で決まっていて、BASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミーは「個人なら運営会社の住所に置き換える機能」があり、Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・Etsy・楽天にはありません。機能が無い販路で自宅を守る現実的な手段はバーチャルオフィス(月660円〜・2026年10月時点)です。
この記事の結論(先に要点だけ)
- 特商法は氏名・住所・電話番号の表示が原則。省略できるのは「請求があれば遅滞なく開示する」旨を表示し、実際に開示できる体制があるときだけ(消費者庁)
- 個人・個人事業主なら BASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミー(フリープラン)は無料の非公開機能で足りる。法人は全部対象外
- Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・Etsy・楽天には置き換え機能が無い。自宅を出さないなら「現に活動している住所」として使えるバーチャルオフィスを契約する
- どの方法でも「完全匿名」にはならない。事業者名(個人は氏名)は隠せず、トラブル時の開示義務は残る
自宅住所をそのまま載せると何が起きる?
住所は一度ネットに出ると検索結果やキャッシュに残り、消しにくくなります。営業DMや押しかけ、家族の住まいが特定されるリスクは、売上の大小と関係なく発生します。
私が独立したときにいちばん引っかかったのがここでした。会社員時代は会社の住所で済んでいたことが、個人で売り始めた瞬間に自宅が「事業所」になるんですよね。しかも特商法の表記は商品ページから誰でも見られる場所に出ます。
実害として多いのは、カラーミーショップが公式ヘルプで「電話番号や住所が悪用されることを防ぐための機能」と非公開機能の目的を説明しているとおり、営業や勧誘の連絡、転売目的の嫌がらせ、自宅への来訪です。STORESも公式FAQに「登録情報に営業や勧誘の連絡が届く場合」という項目を立てています。つまり各社が機能を作るほど、相談が多い問題だということです。
特商法は住所を省略できる?消費者庁のルール
原則は表示です。ただし「請求があれば遅滞なく書面(メール可)で提供する」と広告に表示し、実際に提供できる体制があれば省略できます。
消費者庁の特定商取引法ガイド(通信販売・2026年10月5日確認)は、広告に表示すべき事項として「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」を挙げたうえで、省略できる条件をこう書いています。
消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面(インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」通信販売の広告表示事項(2026年10月5日確認)
「遅滞なく」の意味も定義されていて、申し込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることとされています。つまり省略は「見せないで済む」だけで、「誰にも教えない」ではありません。ここを勘違いすると、開示請求が来たときに慌てることになります。
各ECの非公開機能は、この省略ルールをプラットフォーム側が肩代わりする仕組みです。運営会社が出店者の本当の住所と連絡先を把握していて、問い合わせがあれば開示できる体制があるから、表向きは運営会社の住所でよい、という整理なんですよね。
EC別|自宅住所を非公開にできる販路・できない販路
個人・個人事業主を対象に非公開機能があるのは5つ。Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・Etsy・楽天は登録した住所がそのまま出ます。
各社の公式ヘルプを2026年10月5日に確認した内容を一覧にします。条件の細部は各記事に分けてあるので、使っている販路の行から飛んでください。
| 販路 | 非公開機能 | 条件・代わりに表示されるもの |
|---|---|---|
| BASE | あり | 区分が「個人」のショップのみ。BASE株式会社の所在地・連絡先に置き換わる。法人・Ameba Ownd連携は不可 |
| STORES | あり | 個人・個人事業主のみ。STORES 株式会社の所在地・電話番号を表示。登録自体は「現に活動している住所」が必要で、バーチャルオフィス住所の登録は認められないと明記 |
| minne | あり | 特商法の「販売業者」に当たる個人(個人事業主含む)のみ。GMOペパボ株式会社の所在地・連絡先を表示。法人不可 |
| メルカリShops | あり | 本人確認済みの個人・個人事業主。運営会社の住所に置き換わるが、屋号と代表者名は表示。現在「個人」の新規受付は終了(公式ガイド) |
| カラーミーショップ | あり(条件厳しめ) | フリープラン・個人または個人事業主・クレジットカードか銀行振込の決済が利用可・本人確認完了の全条件。GMOペパボの住所・電話番号を表示。有料プランと法人は対象外 |
| Creema | 記載なし | 運営会社の住所に置き換える機能は公式ヘルプに見当たらない(2026年10月5日時点)。特商法欄は任意記載の扱いだが、請求があれば開示する義務は残る |
| Amazon | なし | 販売業者に当たる出品者は氏名・住所・電話番号が出品者情報ページに表示される。住所は「現に事業活動をしている住所(私書箱等は不可)」 |
| Shopify | なし | 特商法ページは自分で作る(設定>ポリシーのテンプレート)。入れた住所がそのまま公開される |
| Yahoo!ショッピング | なし | 出店者の住所を肩代わり表示する機能は無い。個人で出店すると氏名・住所・電話番号を載せる |
| Etsy | なし | 海外プラットフォームで、日本の特商法に合わせた代理表示の仕組みが無い |
| 楽天市場 | なし | 出店時に届け出た住所・電話番号が店舗情報として表示される。法人・個人事業主が対象で、副業の個人は出店不可とされる |
表の上半分と下半分で、やることがまるで違います。上半分(機能あり)は設定画面のチェック1つ、下半分(機能なし)は住所そのものを用意する。自分がどちらにいるかで、この先を読み分けてください。
バーチャルオフィスが要る人・要らない人
要らないのは「機能ありの販路を個人で1つだけ使う人」。要るのは「法人」「機能なしの販路を使う」「複数の販路で住所を統一したい」のどれかに当てはまる人です。
- 要らない:BASEやminneだけで売る個人・個人事業主。非公開機能で住所も電話番号も運営会社のものに置き換わる。費用ゼロ
- 要る①法人:BASE・STORES・minne・カラーミーの非公開機能はすべて法人を対象外にしている。一人法人で自宅が本店なら、事業用の住所を別に持つしかない
- 要る②機能なしの販路:Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピング・Etsy・楽天のどれかを使う時点で、入れた住所がそのまま出る
- 要る③販路が複数:BASEで隠せてもAmazonで出ていたら意味がない。住所を1つ借りて全部に載せるほうが管理が楽になる
- 要る④開示請求の備え:非公開機能はトラブル時に本当の住所を開示する前提。渡すのが自宅で困るなら、最初から事業用の住所を持っておく
注意点が1つ。STORESは公式FAQで「現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの住所等を登録することは、特商法の表示義務違反となる恐れがあるため認められません」と書いています。バーチャルオフィスは「借りた住所」ではなく「実際に事業の拠点として使う住所」として契約するのが前提です。郵便物の受け取りや転送を実際に回す、というのが「現に活動している」の中身になります。
Amazon・Shopify・Yahoo!など「機能なし」の販路で自宅を出したくない人へ
GMOオフィスサポートは月660円(税込・2026年10月時点)から住所だけを借りられ、転送なしプランならネットショップの特商法表記に使う住所の最安水準です。郵便物の受け取りや法人登記の要否でプランが変わるので、料金表で自分の使い方に合うプランを確認してみてください。なお公式は2027年1月上旬の料金改定を発表しているので、契約時に最新の金額を見るのをおすすめします。
バーチャルオフィスの選び方|転送・電話・登記の3点で決まる
特商法の住所だけなら最安プランで足ります。郵便物が届く・電話番号も隠したい・法人登記も使う、のどれかが加わると選ぶサービスが変わります。
| 使い方 | 見るポイント |
|---|---|
| 特商法の住所だけ | 転送なしの最安プランで足りる。GMOオフィスサポートは月660円〜(2026年10月時点) |
| 返品や書類が届く | 転送の頻度と料金。週1転送か月1転送かで月額が数百円〜千円台で変わる |
| 電話番号も隠したい | 050番号が基本料金に含まれるか。NAWABARIのネットショップ運営プランは月1,100円(税込・2026年10月時点)で050番号込み。GMOオフィスサポートには電話番号が無い |
| 法人登記にも使う | 登記可のプランか、登記に別料金が要るか。審査書類も増える |
私の考えでは、ネットショップの特商法が目的なら「住所だけの最安」で始めて、返品が増えてきたら転送ありに上げるのが無駄がないです。電話番号まで隠したい人は、住所と番号を別々に契約するより、最初から番号込みのサービスを1つ選ぶほうが安く済みます。
住所と電話番号をまとめて1契約で用意したい人へ
NAWABARIのネットショップ運営プランは月額1,100円(税込・2026年10月時点)で、特商法表記に使える住所に加えて050番号(東京拠点なら03番号も可)が基本料金に含まれます。法人ショップや、Amazon・Shopifyなど複数の販路で住所と番号を統一したい人は、プラン内容とオプションの料金を公式ページで確認してみてください。
やる前に知っておきたい注意点3つ
氏名は隠せない、送り状は自分の住所、運営会社の住所を他の場所で使わない。この3つを外すとアカウント停止や表示義務違反になります。
- ① 事業者名(個人は氏名)は非公開にできない:minne・STORES・カラーミー・BASEとも、非公開にできるのは住所と電話番号だけ。STORESは「個人の方の場合、必ず氏名(フルネーム)をご登録ください」と明記している
- ② 発送元は自分の住所:minneは「作品の発送時には、ご自身の発送元の住所をご記載ください」、STORESは「匿名配送機能のご用意はございません」。送り状に運営会社の住所を書くのは不可
- ③ 代わりに表示される住所を他で使わない:カラーミーは、GMOペパボの住所・電話番号を問い合わせ先や送り状、特商法ページ以外に使った場合はアカウントを停止すると公式ヘルプに書いている。届いた品物は廃棄される
どれも「表示を省略する仕組み」であって「身元を無くす仕組み」ではない、という一点に戻ります。そこさえ押さえておけば、販路に合わせて機能と住所を使い分けるだけです。
特商法の住所に関するよくある質問
Q1. 個人事業主でも特商法の表記に住所を載せる義務がありますか?
あります。特定商取引法の通信販売に当たれば、個人か法人かを問わず事業者の氏名(名称)・住所・電話番号の表示が原則です。省略できるのは、請求があれば遅滞なく書面やメールで提供すると広告に表示し、実際に提供できる体制を整えている場合に限られます。
Q2. BASEやminneの非公開機能を使えば、誰にも住所を知られませんか?
いいえ。非公開機能は消費者向けの表示を運営会社の住所に置き換えるだけで、運営会社は本当の住所と連絡先を把握しています。返品や苦情などで問い合わせがあれば、開示を求められることがあると各社の公式ヘルプに書かれています。
Q3. 法人のネットショップで自宅住所を隠す方法はありますか?
非公開機能は使えないので、事業用の住所を別に用意する方法になります。BASE・STORES・minne・カラーミーの非公開機能はいずれも個人または個人事業主が対象で、法人は所在地を公開する必要があります。バーチャルオフィスを実際の活動拠点として契約し、その住所を表記に使うのが現実的です。
Q4. バーチャルオフィスの住所を特商法の表記に使って問題ありませんか?
実際に事業の拠点として使っていれば問題ありません。注意したいのはSTORESのように、非公開機能の登録情報には現に活動している住所が必要で、バーチャルオフィスの住所を登録することは認められないと明記している販路があることです。表示用の住所と、運営会社に登録する住所は分けて考えてください。
Q5. 複数の販路で売っている場合、住所はどうそろえればいいですか?
機能なしの販路が1つでもあるなら、バーチャルオフィスの住所を全販路の表記に統一するのが管理しやすいです。BASEだけ非公開にしてもAmazonで自宅が出ていれば守れません。住所を1つ借りて、機能ありの販路でも同じ住所を表示用に使えば、どこを見られても自宅は出ません。
まとめ|個人は販路の機能、法人と複数販路は住所を借りる
BASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミーを個人で使うなら、非公開機能で住所の悩みは終わります。法人、Amazon・Shopify・Yahoo!・Etsy・楽天を使う、販路が複数ある、のどれかに当てはまる人は、月660円〜のバーチャルオフィスを実際の拠点として契約し、その住所を全販路の表記にそろえるのがいちばん手間がかかりません。
※本記事の各ECの仕様は2026年10月5日時点で消費者庁の特定商取引法ガイドと各社の公式ヘルプ(BASE・STORES・minne・メルカリShops・カラーミーショップ・Amazonセラーセントラル)を確認した内容です。料金は各サービスの公式サイトの時点表記に従っています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
